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犬に指をさす、という話

2026年06月14日 | 真面目な話

他のトレーナーさんがあまり言わないことなんだけど、私はずっと犬に指をさすというのをコミュニケーションの中で使ってきた。

場所を示すとき、相手を示すとき、注意するとき。意識的に指を使う。

これ、最初からそうしようと思っていたわけじゃなくて、ある文献を読んだのがきっかけだった。

バッファローや野生の草食動物が、肉食獣に対して角を向けるという行為が警戒のサインになる、という話。それを読んで、ふと手遊びで小指と人差し指を立てて犬に向けてみたら、明らかに興奮度が上がった。

そこからだった。

犬って「自分に向かってくる鋭利なもの」に対して、本能的に注意が向く。角がそうであるように、指先もそう。だから一本指で示すと、犬の視線がそこに集まる。

それに気づいてから、使い方が三つに整理されてきた。

一つ目は場所や相手を示すとき。「あそこ」「あの子」を伝えたいとき、指先に犬の視線が集まるから、言葉より早く伝わる。

例えば、食事の時に他の子のご飯が気になる子には、声をかけてその子の器を指さす。

意識が器に向けば、食事の集中を取り戻せる。

二つ目は伏せを教えるとき。指で犬の顔を下に誘導していくと、頭の重さに引っ張られて自然に顎がつく。そのまま伏せになる。食べ物で釣るルアリングとは違って、指そのものが注意の焦点になっている感じ。

大きな枠で話をするなら、ドッグスポーツで身振り手振りで方向指示を出すことをするが、それを更に小さな枠で表している感じかな。

三つ目は注意するとき。これが一番設計されていて、指先と犬の目と自分の目が一直線に並ぶように差す。そうすると犬は視線を外せない。怖がらせているわけじゃなくて、お前に言っているという状況を、視覚的に作り出す感じ。

棒や長いものでも同じかと思ったけど、それは逆に畏怖を与えてしまう。指が効くのは、人間の体の延長だからだと思っている。関係性が途切れない。

なぜ犬は指先を見るのか。

たぶんそれは訓練で作られたものじゃなくて、もっと古いところにある。角を向けられたら警戒する、という野生の記憶みたいなものが、指先への注意として残っているんじゃないかと思っている。仮説の話なので、いつか研究者に聞いてみたい。

場所を示すとき、伏せを教えるとき、注意するとき。使い方は違っても、根っこにあるのは同じで、犬の意識をこちらに(指先)向けるということだと思っている。

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